通常出社の珍しい朝、午前中は納品の為に既に予定満載である。
ビスコンティー家の3女は、お盆前にご契約頂いたお客様ではあったが、如何せん自身の時間にうまく合わせてくれない世の中の長期休暇の為、ロスタイム後の納品である。お休み寸前のご縁のせいか、頻繁にお話させていただく時間は無かったものの、中々濃密な人生観をお持ちのお客様で、若輩な自身の糧となることであろう。
直後のお客様は、定期点検でお預かりしていたルノーの名車である。数字の羅列が彼らそのものを表現する為か・・・、フランス語の音のせいか・・・、この現在進行形の世の中で居て、すごくゆとりと実用性をバランスよく兼ね備える一台である。
・・・そして数時間の外出後、再び接するその自動車は、今となってはイタリア一の自動車製造グループの傘下へと成り果てた、往年の名車、「アウトビアンキ」である。くすぐったいくらいアナログなその造りに、これもまた時間の概念を奪い去られそうになりつつ、調整とロードテストに身を投じる・・・。
新メンバーのO方氏へ、自身の血と肉のおすそ分けの傍らで、今日という時間の精算方法と明日と言う訪れる時間の取捨選択に、ひたすらに悪戦苦闘である。
日付の変わりそうなこの時間も、W辺氏は、UK向けの商材の書類の処理に明け暮れ、自身もまたゆっくりと心休まらない残り数日間を堪能すべく、もうしばらくラストスパートである。