渋滞の中走る一台の車・・・。
元々変な縁で彼らの元へ嫁ぐことになったその車は、古くからの友人である彼女と、想像の中にしか存在しなかった彼女の旦那さんと、喧々諤々の末受け入れられてか3年と数ヶ月目の今日である。
当然お互いに年齢を重ねた事実として、かたわらには同じだけの年の男の子がはしゃいでいる。
連休を過ごす家族のために存在すべき者が、不幸にも重なる偶発的要因によりその脈動を経ち、レッカー車で自身の前に姿を現す。
直接的な原因は、冷却水不足によるオーバーヒート・・・。しかし、書きつくせない多くの要因により・・・・と言うところだろう。
それでも愛してもらったその3年と数ヶ月は、間違いなく彼女の家族の一員として傍らに存在し、その子供達の成長と共に過ごしてきたのは事実であろう。
唯一その車によってもたらされた物は、今からも続くであろう彼女の子供の成長のその過程を垣間見ることが出来た、この車が最後に与えてくれたほんのささやかな贈り物であった気がする。
数枚のフレームの中に納まるその姿に、又愛しく思える日が来ることを願いながら、少しセンチな夕暮れの空を見上げてみた。