朝目覚めると、空調の設定温度の低さを恨む日が増えてきた。
老いと引き換えに得た年月は、時として後ろを振り返る瞬間のきっかけをも増やしてくれる。
空を覆い尽くす深い雲の連なる隙間に、ポツポツと見える明るさの部分。
それが一瞬なのか、ひとつの塊なのか、無限に広がる大海原なのか、判断のつかないままに闇雲に自信を見失わないことだけを信じて祈り続ける。
数年に及ぶそれらの事象から、気がつけば「そういうことだったのか」と気付かされた時にはさらに数年を要し、そんな自信のちっぽけさに顔を赤らめる。
繰り返し創造する新たな事業には、弱さと老いと闘い続けたいという儚い想いもあるのかもしれない。
玲瓏とは、透き通り曇りのない様を言う、、、
長月の空はまさに玲瓏さそのものである。