ギリギリ

3速7000回転は、決して自身のレッドゾーンではないことを何度もつぶやきながら、究極のその先へとアクセルを踏み続ける。

深夜の契約も無事に終わり、固く結ばれる髪留めを解くその瞬間に、ONからOFFへとスイッチが切り替わる・・・それが自身の中でのけじめである。

ヒーターのスイッチを切り、オーディオの電源を落とし・・・・、何の必要性に迫られるのか、只管にそのアクセルを踏み続ける。
海岸沿いに続くガードレールにこだまする、ナチュラルエアーに喰らい付く、その少し高めの吸気音と、そして、多くのそれらを力任せに吐き出そうとするエキゾーストノーストと・・・・断続的に続くそのカンツォーネは、自身をよりいっそうむきにさせる。

バックミラー越しに、決して写ることを許さない、その・・・、漆黒の景色に微笑みながら、風と時間に選択させられた今日のその一台は、確実にその期待を裏切らず、その存在意義を発し続ける。

リアシートに投げ込まれたアルミケースのアタッシュから、遮二無二逃げ出す自身の姿に、今だけは唯一終わらない、単独のワインディングが何者にも怯えない勇気を与える。
この費やした50分足らずに、必要以上に感じたがる限界を、明日も越えれることを祈りつつ今もしばし走り続ける。

※これは一応フィクションです。セーフティードライブを心がけましょう。

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