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陽春の朝

 昨晩深夜までの残務のせいか、こんな大事な一日の始まりも・・・・そう睡魔全快である。

 

 ルーティンである目覚ましのシャワーをそれでも浴び、仕立てのいい綿のドレスシャツに袖を通した瞬間・・・眠り続ける自意識が少しだけ今日の一日を理解する。
 いつも通りのCHANELの香りに、またもう一つ目を覚まし、少し細めのITALY製のジャケットに袖を通す・・・。

 本日の足は変わりなくご機嫌で、スリーポインテッドスターのグリルの奥の12気筒は、自身の追い求めるままのスピードで、会場へと滑り込む。

 久しく爽快なほどに澄み切った午前の空に、大きくひとつ深呼吸をし、その目前に高く伸びる石造りの階段を駆け上がる。

 いまや遅しと始まろうとするその厳かな空気は、自身には少しだけ窮屈で・・・・・・

 そう、今日は何時もご贔屓いただく方のWedding Partyである。

 しかし、それにしてもこんなときの女性と言う性は、各も美しくその者を変身させる物なのか・・・・率直な発想にしばし、その存在を殺すかのように、自身の呼吸をコントロールする。

 そんな今日の会場は、今時のスタンダードなのだろう・・・・ハウスウエディングのスタイルで、それもまたこんな陽気に非常に端麗で心地いい・・・・。

 唐突なスピーチを依頼されるも、これもまた駄目だしの一芸で終わり・・・・

 それでも久しく、いろんな意味でスッと何かが抜け去った感のある、素敵なパーティーだった。

 しかし、出会ってから4年ちょっと・・・、定点観測で色々な物事を眺め続ける其の者に、意外に取り残される感のある自身の現実を重ね合わせ・・・・・果たして、変化を追い求め続けるのは誰なのか・・・と言う難問に対峙してしまう。

 あるタイミングで偶然に重なった・・・・そんな時間の瞬間が、次第に連続する空間で共有され、与えられた結果は、きっとそれはそれでパーフェクトに近い感がある・・・・それを素朴に理解でき喜べる瞬間は、恰も自身そのもの存在だけが、少年の頃から持ち続けたいそれそのものと実は相反するものであることに、気づかされ・・・・・、そう、気づかされ・・・・・きっと素敵な時の経過であったのだろう事を・・・間違いもなかったのだろうと・・・・。

 無機質に取捨選択のみが繰り返される現実と、そんな思いが合いまみれ、美しき偶像と化していく。

 すっかり初夏の手前の感のある我々を迎え入れる迎賓館での物事に、忘れかけるスローライフと追いかけ続ける現実を思考する・・・・・。

 もしかし、てこれが5月病?

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