- 2005-12-18 (日)
- Ordinary Ciel Voiture
待ち遠しさを知るが故に・・・、今日であることが必然であった気がする。
日が落ちた途端に、何時も感じない・・・そう、初めて出会う何かへ対する好奇心と恐怖心とがベストバランスで併走する・・・大自然を前にする、ちっぽけな存在の自身を実感する。
心待ちにされている納品の為、一路「南小国町」へと車を走らせる。
前述の高まる想いの深層心理は、純粋な、大自然へ対する対決の為の万感の想いそのものであった。
・・・・お客様の喜ぶ笑顔と、感謝の気持ちに重ね重ねお礼の言葉を述べ、一路帰路に着く。猛吹雪の中走らせる車窓の景色は、見る見るうちに一面を白銀の世界へと変わり果てさせ、その好奇の眼差しと鼓動は、よりいっそう高止まり続ける。
走る事1時間弱・・・進行方向の通行止めの看板に、アドレナリンの分泌はピークに達し、ハンドルを左へいっぱいに切る・・・。
やはり自然は偉大である・・・。一瞬にしてその高鳴る想いを凍て付かせてしまう瞬間に遭遇した・・・。
重装備のリアタイヤのチェーンが破壊され、轟々と降りしきる豪雪と言う名の暗幕で我々を俗世界から切り離してしまったのである。
前にも後ろにも進まない状況と、確実にひどくなる吹雪の中、しばしの人生の縮図の中での格闘の始まりである。在り来たりではあるが、我々つい先ほどまで持っていた、苦難へ立ち向かう勇気と、神が与えし偶然の境遇と、適度な緊張と偶然と・・・それらのすべてを奪い去り、確実に感覚を失いつつある皮膚組織と、それに伴い減退する色々な力を、この小世界は一気に奪い去ってしまった。
この小世界へのスタックからの脱出直後は、しばしの脱力感と自然を尊む気持ちを忘れたヒューマノイドが以下にちっぽけかを知らし召され、呆然と惰性に身を任せ、山を下り続ける。
振り返る過去がかくも美しく変化させられる・・・人間の偉大さもまた、今日であった大自然には引けをとらず、こうして此処にしたためる・・・。